こどもちゃれんじ(ほっぷ・すてっぷ・じゃんぷ)とゼット会(年少・年中・年長)を比較しました。
「初めての通信教育、始めるならどちらがいいかしら」「2歳まではこどもちゃれんじだったけどそろそろ乗り換えるべきかな」という判断をお手伝いできるように、次の6つの視点から比べています。
- コンセプトの違いはあるか
- 価格はどのくらい違うか
- 時間適負担はどのくらい違うのか
- 教科はどう違うか
- 教材はどう違うか
- 第三者評価の比較
もちろん全てに目を通していただければ両社の違いが明確になると思いますが、気になる項目だけをお読みいただいてもお役に立てると思います。
全てのジャンルにおいて洗練され、誰もが推薦できる安定の通信教育「こどもちゃれんじ」多角的に幼児教育を研究し尽くして、カスタマイズもするしキャンペーンもするし、ありとあらゆる方向から他社と差別化する凄まじいサービス。その本気度が頼もしいので、ブランドの信頼性は高い。また、イード・アワードで「子供が好きな通信教育」部門の絶対王者でもある。
影の実力者Z会。こどもちゃれんじからZ会に変える人は実は多い………イード・アワードで最優秀賞はこどもちゃれんじですが、実は部門賞を最も獲得しているのがZ会。しかも幼児教育だけではなく、小学〜高校までの教育でも高い評価を得ています。人気のこどもちゃれんじ、実力のZ会という住み分けになっています。
幸い両社のサービスを利用したことがあるので、今回は調査以外に体験談も交えて執筆しています。
通信教育コンセプトの比較
意外と目指すゴールは似ている
こどもちゃれんじとZ会のコンセプトを最初にチェックしてみましょう。
最後まで自分の力で解ききることで、「自分で学ぼうとする姿勢」を養います
こどもちゃれんじ
幼児期の今だからこそ、「自ら学びに向かう力」の土台が身につきます。
Z会
これはコンセプトの一部を引用しただけですが、どうでしょうか、似てると思いませんか?
実は目指すところはほとんど同じなんです。ここ、とても重要です!
「エンタメ性ならこどもちゃれんじ」と「知的な体験型ワークならZ会」という多くの人が抱くイメージが先行してしまいがちですが、実際のところ「自ら学ぶ姿勢」「自ら考える姿勢」を身に着けて欲しいという成長のゴールは一緒なのです。
この「自ら学ぶ姿勢を幼児期に身につける」というのは、メジャーな教育理論の1つです。両者ともそこに向かってくれているというのは、私たち利用者としては安心できるポイントです。この点では、どちらを選んでも正解と言えます。
ゴールへのプロセスが違う
でもプロセスは全く違いますよね? 一人でできるこどもちゃれんじ、親子でやるZ会って聞きましたけど……
そうなんです、目指すところは似ていてもプロセスは両社でだいぶ違います。「一人で学ぶ度合いが高いこどもちゃれんじ」と「親子で学ぶ度合いが高いZ会」という特徴があります。
ただし、Z会にも「一人で遊べるワーク」はありますし、こどもちゃれんじにも「親子で学べるワーク」があります。その割合がかなり違うという点が両社の顕著な違いです。それを踏まえて、本稿ではもう少し細分化して「使える時間別のおすすめ」をビジュアル化して後述しています。
ツール(教材)は全然違う
もっともはっきり違いがでるのは、ゴールを実現するために用意したプロセスで使うツール、すなわち「教材」です。教材に対しては両社で全く別の考えがあります。
こどもちゃれんじは冊子以外の教材も充実
こどもちゃれんじでは冊子型のワーク以外にも、知育玩具(エデュトイ)とDVDなどを用意していて、子供の好奇心をグイグイ刺激してくる教材ラインナップを揃えています。かの有名なしまじろうも教材に登場します。
Z会は冊子に特化している
Z会では冊子型のワークに特化して、その他の余計な刺激を極限まで減らしています。副教材として時々グッズが送られてきますが、特定のキャラクターなどはおらず、実に教育的なアイテムです。たとえば持ち方が自然と矯正される鉛筆や食育体験で使えるまな板などです。
※この教材における違いは、このあとに比較していきたいとおもいます。
ここまでは、教材を通して実現したいゴールはけっこう似ている、違うのは学び方の割合と教材に対する考え方なんだということをお伝えしました。
以下では、もっと具体的な価格やシステムの違いを比べていきます。どちらが読者のお子さんとご家庭に向いているのか判断する一助になればと思います。
価格の比較
価格は明確です。年少ではZ会、年中・年長はこどもちゃれんじが有利です。とはいえ、どちらも相場の範疇なので価格だけでは判断できないと思います。それでも重要なポイントなので、こどもちゃれんじとZ会の価格比較表を以下に掲載しておきます。
なお、価格は2020年度のものです。(Z会は2020年度から値上がりとなりました)
支払い方法はこどもちゃれんじとZ会で大きな違いはありません。両社とも洗練された仕組みを用意してくれています。
違いがあるとすればZ会は1ヶ月で退会できるのに対して、こどもちゃれんじは二ヶ月目からでないと退会できないという点です。
時間的な負担の比較
個人的な体験だと、Z会は親がつきっきりになることが多いのに対して、こどもちゃれんじでは最初の数分から10分くらい付き合って子供の気分が乗ったらソッと離れる、という技が使えました。うまくいかないこともありますが「こどもちゃれんじは手離れがいいな」と感じたこと多数です。
以下は個人的に両方を体験した上で、感覚をグラフ化したものです。
本当に一人で遊べますか?
正直なところ年少の頃は無理でした。この点はこどもちゃれんじ側からもフォローがあり「10分から15分ほど親子で取り組むことを推奨」としています。
10分間しっかり遊べたら十分〔中略〕ワークは2~3分あれば1課題取り組めます。
こどもちゃれんじ
ただし、DVDはいきなり一人でも見始めます。どうしても一人で遊んでいてほしい、けどYouTubeやスマホゲームは控えたい、そんなときの最善策として子供の脳への影響まで考えて設計されているこどもちゃれんじのDVDは安心して使えます。
結局のところ、忙しいならこどもちゃれんじ、時間に余裕あるならZ会、ってことですか?
それも正解です。「時間」という観点から、もう少し細かく分けて図にしてみました。
あくまで「使える時間的に」どういう状況ならどっちがおすすめかをビジュアル化してみました。
時間の勝負になると、どうしてもこどもちゃれんじが優勢です。しかしZ会もいい教材なのです。「時間が……」というだけで判断するのはもったいない! なので、ちょっとZ会をフォローしてみたいと思います。
親の負担をへらすZ会の施策
この図にも書いているのですが、Z会も「親子でやるワークは時間の負担が大きくなる」という自社の弱みはバッチリ把握していて、対策として「小さなワーク」「準備無しでもできるワーク」を教材に含めてくれています。
お風呂に入るついでにZ会
ちょっとお風呂に入るときにやるワークや、影を使ってパッと実体験できるワークなど、よく設計されています。なかなか芸が細かいのです。
また「外出用のワーク」まであります。これがあることで、病院の待ち時間、電車に乗ってるとき、カフェで休んでいるときなど外出先でサクッとワークができます。もちろん外でワークをすることが性に合っている子供でないとなかなか難しいですが、一度は試してみたいところです。
年中からはZ会で毎月添削サポートがある
年中になると「かんがえる力ワーク」という教材が始まり、Z会でも「一人でできる度合い」が高まってきます。
さらに「ぺあぜっとシート」という提出課題も始まります。これは添削してもらえるのですが、なんと担任は固定制です。担任が固定性の添削といえばKUMONが思い浮かびますが、かのKUMONは月額8,250円なのに対して、Z会は月額2,640円で実現しています。もちろん添削する分量などはKUMONが多いですが、添削指導という経費のかかるシステムを導入している点は高く評価したいです。
教材の比較
教材の種類を比較しました。バリエーションが豊富なのはこどもちゃれんじです。Z会は冊子の数が(外出用をあわせると)3種類もあり、ワークが豊富であることが分かります。
こどもちゃれんじは、小さい子供が何に興味を引かれるかを研究して、色や形や音や素材などに仕掛けを施しているため、自分からどんどん遊びたくなる・学びたくなる玩具や冊子が中心です。興味を引くバランスもよく調整されており、ただ中毒性が高いおもちゃとは全く違う教育的なラインナップになっているので安心です。
Z会は、もともとが大学受験などに強い会社であることもあり、小さい子供なりの考える力を伸ばすにはどうすればいいかを研究して教材化しています。それでいて「自分でできた」という自信をつける側面もしっかり押さえていて、こちらも安心の教材といえます。前述の通り親がサポートする割合が大きいですが、幼少期の親子の触れ合いは「共有型しつけ」という方法で、小学校に行ってからの学力テストの成績が高いという研究結果が出ています。
両社ともに子供が自信を持てるような作りになっていますが、自信が能力向上に直接繋がるのは小学3年生以降だと考えられています。
児童期中期以降で自尊感情と関連が強い「能力(コンピテンス)が高い」という内容は上がらず、幼児では能力と自尊感情との間には関係がみられませんでした。
よくわかる乳幼児心理学
それでも自信が子供に良い影響を与えるのは確かです。
以下は年少・年中・年長ごとの教材の比較です。お子さんの年齢に合わせてチェックしてみてください。
年少の教材
こどもちゃれんじ ほっぷ | Z会 年少 | |
冊子 | 1 | 2 |
絵本 | ||
映像教材 | ||
付録教材 | ||
知育玩具 | ||
外出用冊子 | ||
提出課題(添削指導) | ||
保護者向け冊子 |
年中の教材
こどもちゃれんじは年中からコースが2つに分かれます。今まで通り知育玩具(エデュトイ)が送られてくる総合コースと、思考力特化コースという新しいコースです。
こどもちゃれんじ すてっぷ | Z会 年中 | ||
総合コース | 思考力特化コース | ||
冊子 | 1 | 2 | 3 |
絵本 | |||
映像教材 | |||
付録教材 | |||
知育玩具 | |||
スマホ教材 | |||
外出用冊子 | |||
提出課題(添削指導) | |||
保護者向け冊子 |
思考力特化コースは「そろそろエデュトイとか子供っぽいものは卒業して考える力を伸ばしたいわ」というご家庭のハート(と財布)をガッチリ掴む凄い打ち手です。エデュトイ、映像教材、絵本をなくして冊子型ワークや添削(年3回)などを中心に据えた知的な通信教育に早変わり……すごすぎます。ちなみに価格は総合コースも思考力特化コースも同じです。
思考力特化コースでも、エデュトイは1つだけ「ひらがななぞりん」が届きます。なので△。
思考力特化コースの存在で教材の内容がかぶり気味のZ会では「きいてわくわく えいごパーク」というスマホでタップして取り組むスマホ教材が始まります。英語が弱いと言われていたZ会(の幼児コース)に英語の教材が加わります。「おお! これはすごい差別化!」と思いきや年4回だけの模様なので△。
かつ、こどもちゃれんじではスマホ教材が△になっていますが、実は……いや、もうすごすぎるのですが、有料の通信教育とは別でしまじろうクラブなる無料のウェブサービスがあってスマホでゲームやワークが盛りだくさんなんですよね……無敵すぎる。もちろん通信教育のキッズワークとも連携している内容です。総合コースの子でも(さらに言うと会員じゃなくても)楽しめます。ぬかりない。
Z会の年中
ちょっとこどもちゃれんじが無双している感があるので、ゼット会の凄いところもまとめておきます。
- 親子が共同して取り組むというコンセプトを重視する度合いが、こどもちゃれんじよりも大きい
- 添削課題は、こどもちゃれんじが年3回なのに対して、ゼット会では毎月ある
- 副教材のひらがな大好きワークも含めると3つもワークがある
とくに添削課題を毎月やるというのはKUMON(月額8,250円)を彷彿させる高い頻度です。しかもKUMON同様に添削する人は固定担任制。かなりコストの掛かるシステムですが、ゼット会はやりました。「親子で一緒に」というコンセプトもそうですが、ゼット会がどれだけ人間同士のコミュニケーションを重視しているかを伺わせる教材ラインナップだと言えます。
年長の教材
こどもちゃれんじ じゃんぷ | Z会 年長 | ||
総合コース | 思考力特化コース | ||
冊子 | 1 | 2 | 2 |
絵本 | |||
映像教材 | |||
付録教材 | |||
知育玩具 | |||
スマホ教材 | |||
外出用冊子 | |||
提出課題(添削指導) | |||
保護者向け冊子 |
Z会では副教材として付録教材が数回、知育玩具として地球儀が届くといった変化があります。
教科の比較
今度は中身の比較になります。各教材を通してどのようなジャンルの学びを提供してくれるのかを比較しています。
年少の教科
こどもちゃれんじでは有料オプション(各545円(税込))があるので、そちらも比較対象として記載しています。
こどもちゃれんじ ほっぷ | Z会 年長 | ||
通常 | オプション | ||
考える力 | (知育プラス) | ||
ことば | (読み聞かせプラス) | ||
数・図形 | (知育プラス) | ||
社会性 | (読み聞かせプラス) | ||
自然・環境 | – | ||
表現・身体活動 | (表現プラス) | ||
英語 | – |
こどもちゃれんじEnglishはオプションというよりは別商品の価格(月3,637円)なので、ここでは言及していません。
年中の教科
こどもちゃれんじ すてっぷ | Z会 年中 | ||
総合・思考力特化 | オプション | ||
考える力 | (知育プラス) | ||
ひらがな・カタカナ | (知育プラス) (読み聞かせプラス) |
||
数・時計 | (知育プラス) | ||
社会性 | (読み聞かせプラス) | ||
自然・環境 | (サイエンスプラス) | ||
表現 | – | ||
英語 | – |
こどもちゃれんじのサイエンスプラスだけは1,090円(年6回)です。
年長の教科
こどもちゃれんじ じゃんぷ | Z会 年長 | ||
総合・思考力特化 | オプション | ||
国語の基礎 | (知育プラス | ||
算数の基礎 | (知育プラス) | ||
生活習慣 | – | ||
知的好奇心 | (サイエンスプラス) | ||
表現 | – | ||
英語 | – |
第三者評価(イード・アワード)の比較
株式会社イードという東京証券取引所マザーズ市場に上場する企業が、2012年から通信教育を調査してイード・アワードを決めています。こどもちゃれんじとZ会に絞って、どちらがどんな賞を受賞してきたかを比べました。
■……こどもちゃれんじ
■……Z会
最優秀賞 | 効果満足度 | 添削の質 | 教材の質 | 学費満足度 | 子供が好き | 継続しやすい | 受験進学情報 | ブランド信頼性 | |
2012 | ■ | ■ | |||||||
2013 | ■ | ■ | ■ | ||||||
2014 | ■ | ■ | |||||||
2015 | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | |||
2016 | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ||||
2017 | ■ | ■ | ー | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | |
2018 | ■ | ■ | ー | ■ | ■ | ■ | ■ | ||
2019 | ■ | ■ | ー | ■ | ■ | ■ | ■ |
かなりの接戦です。お互い良い刺激を受けあっていることが見て取れます。2019年の発表が楽しみで仕方ありません。もうすぐのはずなので、毎日チェックしてます。発表されたら記事も更新します。2019年度の通信教育部門が発表されました。見事こどもちゃれんじが最優秀賞に輝きました。Z会もブランド信頼性においてこどもちゃれんじからその座を奪いました。2020年も大接戦になりそうですね。
まとめ
幼児の通信教育におけるメジャーな商品は他にもありますが、今回はこどもちゃれんじとZ会の比較を行いました。
コンセプト、価格、時間的負担、教材、教科、第三者評価の6項目を踏まえて、どちらがご自身の子どもと、何よりご自身に合っているかをご判断いただけたらと思います。
ただ「併用すれば知育効果倍増」というわけではありません。オーバーワークは子供にも親にも良い結果をもたらしませんので、併用するならペース配分や分量調節を行う必要があります。また、「○歳だからA社」という年齢だけで判断するのもおすすめしません。両社ともに年齢に合わせた最適解を出してくれています。どちらが合うか、という点のほうが重要です。
幸いこどもちゃれんじの資料請求とZ会の資料請求は、しつこい営業電話などはありません。あっても確認程度です。まずは資料請求するか、とりあえず短期間試してみることをおすすめします。
退会する方法をしっかり調べておくと、始めるときの迷いを緩和できます。
その他の有力な幼児の通信教育をまとめて比較した記事はこちらです。
極めて個人的な意見を言うなら、経済的に大丈夫ならこどもちゃれんじをオプションも含めて受講して、子どもと家庭の教育方針によって総合コースか思考力特化コースを決める、というスタンスがおすすめです。一方、親子での時間づくりこそが最強の教育だと考えられるならZ会で全力投球するのもありです。